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2010年1月15日 (金)

迷う事

病院からの帰りの車中、一人の老婦人が乗ってこられた。

ドアーの所に立ったまま、外を見ていた。
私はそばまで行って、
「あそこが空いていますよ。」と、声をかけた。
「ありがとうございます。私は手すりがなければ、一度座ったら立ち上がれないんですよ。ですから、立っていたほうがいいんです。」

そのまま、私たちは立っていた。特別、支えが必要とは思わなかったが、穏やかに話されるその老婦人の話を聞いているのが楽しかったし、去年脳梗塞を患ったと知って、すぐにそばを離れる気にはなれなかった。私の父は脳梗塞で亡くなっている。

その方の話される事を楽しく聞いていたが、私のほうから質問した事はただ一つ、引っ越し前の住所だった。
「サンフランシスコ。40年おりました。」
「主人がなくなりましたので、弟やみんながこちらに帰って来るように一生懸命言ってくれて・・・。」

引っ越してきた時、あまりに段ボールの数が多いので呆れられたとのことだった。
「みんな、本だったんですよ。」
「本なんか、捨ててきて、こちらで買えばいいじゃないかって言われましたけれどね、それができないんですよ。とても大事ですし、それに、絶版になっているものもありますしね。」

「本は大事ですよね。私の娘も本がなければ生きていけないと言います。」
「まあまあ!ほんとにね。そうですよ。」
上品な友は、それは嬉しそうに笑った。

私たちは違う駅で降りるまで、楽しく過ごした。

いよいよ別れる時、控え目な友は私に住所を聞く代わりにこう言ってほほえんだ。

「私は、よくこの電車に乗ります。目が悪いので気が付かない事もあると思いますが、その時はごめんなさい。」

私は何と言葉を返したのか覚えていない。

話の中でも、どこに住んでいるのか、どういう状態で過ごしているのか具体的に言及されていたので私は自分の住所や電話番号を書いて渡したかった。娘にも会っていただきたかった。けれども、何も出来ぬまま、さよならをした。自分の名前さえ言えずにただお辞儀をした。

(79歳で、あまり心配な状態ではなく過ごされているようなので、その状態を私の加害者に壊されたくない、79歳なら、もう、加害組織もまさか攻撃をしないだろう、いや、何でもありの加害組織だ、何をするか分からない・・・・・。)

40年ぶりに帰ってきた日本で、さびしい思いをされていなければいいけれど。

「ここは桜が沢山あってきれいですね~。」

と、心から嬉しそうだった会ったばかりの友。私はあなたの幸せのために、会いに行かない事にしました。

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